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【パッケージコラムvol.4】お菓子のパッケージデザイン、2つの軸「おいしそう」と「たのしそう」

さっそくですが、みなさんお菓子は好きでしょうか。

スナック菓子やチョコレートはもちろんのこと、価格帯の幅も広く数十円ほどの駄菓子から高級なブランド品まで幅広く存在します。

そして食べるシーンもさまざまです。

合間のちょっとした気分転換や自分へのご褒美、シェアすることでコミュニケーションを補助するような役割を果たす場面もあります。菓子折りといった文化もありますね。

今回はそんな魅力に富んだお菓子のパッケージを外見のグラフィック的な部分ではなく、食べるシーンを思い浮かべながら、そのエモーショナルな部分に焦点を合わせて見ていきましょう。

森永ミルクキャラメル

スリーブ形状の箱を引き出すと一粒ずつ綺麗に包まれたキャラメルが整列しています。

この丁寧な包みを開封し、味わうまでの少しの間が高揚感を演出します。

機能で言えば包み紙は中味を守り、整列させることは容積の無駄をなくし効率をあげるものです。

しかしこれらにより作り出されるこのちょっとした心の機微の集まりがミルクキャラメルの体験を形作っているでしょう。

チロルチョコ

小さく包まれた姿が可愛らしいチロルチョコ。

同じ一粒でも包み紙ではなく、アソートの小袋のような姿ではこの魅力はなかったでしょう。

このミニチュアのような存在が店頭でずらりと並んでいる姿は見ている側もたのしい気持ちになってきます。また奇抜なものを含めて、豊富な種類は選ぶ側をたのしくさせてくれます。

本体のサイズが小さい為に情報を載せるスペースが限られることで必然的に目に留まりやすいキャッチーで強い顔をしているのも特徴です。

スナック菓子類

膨らんだ袋が特徴のスナック菓子。その中味のボリューム感もですが、大きな袋をバッと開ける行為そのものがたのしさやジャンク感を演出する大切な要素のひとつに感じます。

もしかしたらこれは缶ビールを開けた際の"プシュ"という音のようにシズルの一部、商品が持っている魅力の一部なのかも知れません。

また逆に小袋の場合では中味によりフォーカスされ、味を愉しむ方に気持ちが動いているのではないでしょうか。包装の大きさもまた印象を左右する重要な要素です。

じゃがりこ

手の汚れにくい中味によってスナック菓子をスマートにした特徴的な商品。

中味だけでなくパッケージがそのスマートさを引き立たせています。

口が広がったカップ状のパッケージはストレートな筒に比べて中味が取り出しやすく、場所もとりません。また中味がその形状に合わせて少し広がるように立っているおかげで一本一本がつまみやすくなっています。そしてこの広がった見た目はボリューム感を演出するのにも一役買っているでしょう。

さまざまなお菓子のパッケージには共通して「たのしさ」が込められているように感じます。

さまざまな形のお菓子パッケージ

冒頭で述べたようにお菓子を手にとる際の目的である、気分転換やご褒美、誰かと一緒に楽しむといった役割を果たしてくるものを選ぶ指標として「おいしさ」とは別に「たのしさ」が軸として存在しているからではないでしょうか。

またパッケージ自体が食べる為の器の役割も担っていることが多く、中味に合わせた最適な形で提供することは商品の魅力をより引き立たせることにも繋がるでしょう。

例えるなら料理の盛り付けに少し似ています。

居酒屋や食堂のように大皿に豪快に盛られた料理は家庭的に感じ、それだけで安心感が湧きます。手にも取りやすく気兼ねなく食べることができるでしょう。

今回で言えばポッキーやスナック菓子のような存在が当てはまりそうです。

それとは逆にひとつひとつ丁寧に小皿に盛られた料理は受け手にも適度な緊張感と、集中力が求められます。ミルクキャラメルやチロルチョコはこちらでしょうか。

実際に今回のような外見で中味の印象が変わる代表的な例として、瓶のコーラの方が缶よりも美味しく感じるという話はよく耳にします。

同じ中味でも提供される形によって受け手の印象が大きく変わるように、パッケージもビジュアルや包装としての機能性だけでなく食べるシーンに目を向けることで、人のより深いところに体験として届くパッケージデザインのヒントが得られるのではないでしょうか。

 

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