さて突然ですがみなさん、SNSはよく使われますか。
TwitterやInstagramはもちろんのことTikTokやFacebook、クリエイティブ系だとBehanceにTumblrといったサービスがあります。
少し考えただけでも数多くのSNSプラットフォームで溢れています。
これだけのサービスが存在している中でむしろ全くSNSを利用せずに日々過ごしている人の方が珍しいかも知れませんね。
かくいう私自身も市場に出回っているパッケージについての反応や流行っているものを調べたり、様々な方面のツイートを眺めてはtips的に知識を仕入れ、さらにはブックマークや下書きの機能を活用してメモ代わりにまでしている始末です。
一切利用しないとなるとあらゆる物事に支障が出ると言っても過言ではない気さえします。
今やSNSの活用は本来の用途であるコミュニケーションに留まらず、情報の収集や学びの場から口コミのチェック、企業やブランドの情報発信などのマーケティング的な側面も持ち合わせています。
異なるレイヤーに存在しているもう一つの世界と言えるかもしれません。
このようなSNSの存在がパッケージにどのような影響を与えているのか、今回は考えていきたいと思います。
まず初めにSNSの利用者数や特徴を押さえておきましょう。
前述した様に今多くのプラットフォームが存在しています。その中でも今回は日本国内のメインストリームであるTwitterとInstagramそしてYouTubeの3つに絞ります。
日本国内における利用者数(2022年1月時点)
Twitter:5,895万人
Instagram:4,610万人
YouTube:6,500万人
現在の日本の人口が約1億2400万人に対してTwitterとYouTubeはほぼ半数の人々が、Instagramにおいてもそれに迫る数字です。実際の数字で見るとその規模の大きさがよく分かりますね。マーケティングにおいてもSNSが重要視されているのもこれだけの人口がいるとなると頷けます。
TwitterとInstagramとYouTubeそれぞれの特徴
Twitterは何と言ってもそのリアルタイム性と文字数制限があることでコンパクトで気軽に利用できることが特徴と言えるでしょう。
投稿の拡散、リツイートも簡単に行えるので拡散力が特に高く、また話題となっていることをトレンドとして取り上げる機能もあるのでその時になにが話されているのかキャッチすることも容易です。
テキストによる投稿が主となる特性上、左脳的なSNSとも言えるでしょうか。
Instagramは写真や画像といったヴィジュアルをメインとしたSNSです。
インスタ映えという言葉からも視覚的な部分のプライオリティが高いことが感じ取れます。また投稿された画像に写っているものを買うことができるショッピングの機能があることも特徴的です。
感覚的に楽しめるという点でこちらは右脳的なSNSと言えるでしょうか。
最後にYouTubeです。こちらは上記2つとの大きな違いは動画形式という点です。
商品やお店のレビューから解説や実況にライブ配信と時制も含めて幅広いジャンルを包括しています。利用者数も今回取り上げる中でトップです。
SNSで話題になるパッケージについて考えてみる
さてSNSではどのようなパッケージが話題になっているでしょうか。
少しTwitterのタイムラインでも眺めながら考えてみましょう。
まず初めに分かりやすいところで”映える”ものでしょうか。彩りが綺麗だったりユニークやオシャレなものに開封が凝ったものと、ヴィジュアルに重心が置かれている点で投稿者を飾るアクセサリー的な消費のされ方とも言えるかもしれません。
SNSの性質的にInstagramで話題になるのはこの系統の投稿ですね。
映えとは逆に中味の商品とパッケージのギャップが大きいものも話題にされていますね。中の商品はとても良いのにパッケージが余りにもそれを伝えられていなくてそのギャップが逆に面白くなってしまうパターン。
ちょっと耳の痛い内容ではありますが、パッケージデザインへのダメ出しも非常に話題になりますね。中身が分からないといったものから識別性の問題などのグラフィック的なものから開け方が分かりにくい、使い難いと言ったプロダクト的な部分の指摘まで様々です。
それとはまた違った方向としてパッケージのグラフィックや設計、素材などのデザインディテールに言及した内容もよく見られます。またパッケージを活用したアート作品や2次利用のアイデアなどクリエイティブ系の投稿もよく見られます。
こうして振り返ってみると、映えに限らず思っていたよりも方向性は多岐にわたりますね。
映えの功罪
SNSとパッケージを語る上でこの”映える”という言葉を避けることはできません。
映えると話題のパッケージを眺めてみると、透明なボディの缶に詰め込まれたケーキの断面がシズル「ショートケーキ缶」と呼ばれるものや自分でアレンジした写真をシェアするファミリーマート限定のアイス「たべる牧場ミルク」や可愛いイラストが全面に押し出されたものアート的なグラフィックが特徴なもの、シンプルで最低限に構成された生活に溶け込むグラフィックの化粧品など表現は様々です。
特に話題になるパッケージの多くは特異なヴィジュアルをしています。
しかし忘れてはいけないのが結果として映えている、尖った存在になっているという点です。「ショートケーキ缶」でいえばケーキの崩れやすく、箱では持ち運ぶ際はもちろん冷蔵庫の中でもスペースをとってしまいます。しかし缶を使うことでこれらの問題を解決しつつ、ケーキのシズルポイントである断面が透明な容器に収まることでより強調されています。ケーキなのに缶を開けるという新しい体験も含めて、とても高いレベルでまとまったパッケージデザインです。
このように問題解決とヴィジュアルが両立しているものばかりではありません。
優れた商品の表層を切り貼りしたようなものが見受けられるのも事実です。これはパッケージに限らずグラフィックやプロダクト全てのデザインで起こりうることです。
今は映えるパッケージが求められる時流でもありますが、手段と目的が逆になってしまわないように心に留めておきたいポイントです。
少し嫌な側面が見えてしまいましたが、それ以上にこの映えるという言葉、感覚が世間に浸透したことでとても良くなったと考えていることがあります。
それはよりパッケージデザインの重要性、ヴィジュアルに対する感度と意識が高まったことです。これはパッケージに限らず店舗の内装や看板、見せ方など含めて洗練されたものが増え平均レベルが高くなったように感じます。
デザインに対する重要性が高まることで、より注力されるようになり新しい表現や包材が試されパッケージデザインの世界がさらに深まり広がっていくのではないでしょうか。
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