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【Premium】オランダのオーガニック食品スーパーのプラスチック・フリー・パッケージ

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おいしさは二の次?売り場&パッケージから見るオランダのヘルシー食材アプローチ(前編) 

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おいしさは二の次?売り場&パッケージから見るオランダのヘルシー食材アプローチ(前編)

はじめに

オランダは、人口1,000人あたりのエネルギー生産割合を見ると、一般廃棄物からのエネルギー回収で、欧州ではデンマークに次いで2番目にランクされている国だ。オランダ人の特質でもある合理的で真面目な考え方が浸透しているようで、廃棄物を資源として捉え、石油、石炭、コークスといった化石由来燃料を代替することで温暖化ガスの排出を抑制し、廃棄物を徹底的に減容化して回収している。廃プラスチックの海洋流出対策に悪戦苦闘している東南アジア、南アジアの諸国はモデルケースとして学ぶべきであろう。

筆者は海外のパッケージ事情を取材するときは必ずスーパーを訪れ、それも同じ場所のスーパーを視察して前の年からの変化を記録している。水迫さんのレポートは、滅多に訪れるチャンスがないオランダのスーパーを「パケトラ」で紹介いただきとても興味深い。またご自分で商品を購入されその体験を披露されている。個人的には嬉しい限りだ。

プラスチックパッケージを減らす宣言をしたスーパー「EKOPLAZA」、その後は?

写真:オランダを代表するオーガニック食品ストアのEKOPLAZA

水迫レポートでも紹介されているオランダを代表するオーガニック食品ストアのEKOPLAZAは、昨年2月世界で初めてプラスチックパッケージを使用しない売り場(Plastic-Free Aisle)を開設したことで、一躍世界的に有名になった。

掲載した写真にもあるように店の前にデカデカとプラスチックを使わないと宣言した横断幕を張り、店内でも大きく「Plastic Free」を棚に掲げた。ただこの大胆な試みが思わぬ批判に曝された。外見は従来の化石由来プラスチックと同じ美しい透明な袋に詰められた商品が並んでいる。これでは消費者を混乱させるというわけだ。

写真:店内でも大きく「Plastic Free」と掲げられている。

袋には植物由来で生分解性があり、コンポスタブルな素材が使われている。これをEKOPLAZAは12週間内にホームコンポストで堆肥化できると宣言してしまった。環境団体からは誤ったメッセージを消費者に伝えているという批判を受けた。

通常堆肥化するには50-60℃に温度を管理した産業用コンポスト施設が必要で、地中温度が30℃以下ではコンポスト化は進まない。また海洋では生分解されない。これでは、化石由来のプラスチックと何ら変わるところはないし、中途半端に生分解すれば今最も問題となっているマイクロプラスチックの発生源になってしまう。

1年経ってEKOPLZAは、こうした指摘に対してどう課題を改善したのか、また機会があれば水迫さんの現地レポートをお願いしたいと思っている。

プラスチック反対運動の拡がり

ところで、オランダに限らず、欧州全土で環境NGOによるプラスチック反対運動が拡がり、リテールや消費財メーカーは困惑している。

写真:プラスチック反対運動の行き過ぎた行動が問題となっている。

上の写真のように、あるNGOが大挙してアムステルダムのスーパーに押しかけ、購入した商品のプラスチックの袋を剥がして、エコバッグに入れ替え、空になったパッケージを買い物カートに放り出したまま立ち去るといった乱暴な団体も出てきているという。賞味期限の日付も、産地も材料もブランド名もわからない食品を家に持ち帰り、どう美味しく調理して食べるのだろう?こんなことで大切な食材を無駄にし、食品ロスを増やすとしたら言語道断だ。

写真:お菓子のパッケージを郵便ポストに投函する運動。目的を果たすため、手段は選ばない。

こちらは、ペプシコの英国ブランドのポテトチップス「Walkers」の空き袋を郵便ポストに投函する運動を紹介している写真だ。ペプシコはたまらず着払いで封筒や小包にパックされて返送された空き袋を回収し、リサイクルすることを約束したという。

目的を果たすために手段を選ばないやり方は如何かと思う。欧州を震源地として起きている廃プラスチック削減のうねりは、こういった行き過ぎた消費者行動も背景にあることを知っておくべきだろう。

さいごに

欧州中心にプラスチックパッケージの利用制限、削減を進める法規制が進んでいるが、これらはあくまで先進国型モデルで、世界全体のプラスチック廃棄物削減にはあまり効果がないと筆者は考えている。特に膨大な量の廃棄プラスチックを海洋に流出させている中国、東南アジアや南アジアで廃プラを削減するには、先進国と同様にまずプラスチック廃棄物を削減するためのインフラを全国規模で整備しなければならない。

出典:Plastic Europe誌「Plastics - The fact 2017」

こちらのグラフは欧州主要国の廃プラスチック管理の2017年の実態を示したものだが、青色の棒グラフがエネルギー回収(熱、電力、燃料)の比率を示している。いずれも日本と同様70%前後だ。先進国ではこうしたインフラがあって初めてプラスチックリサイクルの研究開発に時間をかけて取組むことができる。ただそうしているうちにも、新興国では人口が増え続け、所得の向上に伴いプラスチック廃棄物の排出量は加速していく。先進国の官民が力を合わせて、早急に新興国の廃棄物管理インフラの整備を支援し、国民に対する教育を拡げていかねば、海洋プラスチック廃棄は益々深刻な問題となっていくであろう。

(こちらの記事の文章・画像等の無断転載はご遠慮ください。)

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