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ついに炭酸飲料の消費量を超えた!アメリカで拡大する「ミネラルウォーター」市場の話。完全循環型ペットボトルリサイクルとは

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はじめに

江國ライターのレポートにある通り、英国人は甘いもの好きで有名だ。日本で売上No.1のチョコレート菓子、ネスレの ”キットカット” 発祥の地は英国だが、日本では日本人の好みに合わせて甘さを抑えた和風テーストのチョコレートが販売されており、国内だけでなく海外観光客からも絶大な支持を得ている。

ところで米国人はその英国人を凌ぐ甘いもの好きで、筆者が1980年代に米国で仕事をしていた頃の話だが、職場の同僚がお昼休みに筆者のミニ誕生会をひらいてくれた。その時プレゼントされたバースデーケーキの強烈な甘さにホトホト閉口したことを今でもはっきり覚えている。甘さに対する語彙が貧弱な筆者にとって、このケーキは食レポで表現できないほど超甘で、嬉しかった半面辛い思いをした。

その米国でコカ・コーラに代表される炭酸飲料を抜いて、ミネラルウォーターが飲料分野のカテゴリーでトップになったと聞いたとき(2016年の話だが)は正直ビックリした。

炭酸飲料を抜きミネラルウォーターがトップの座に

米市場調査会社ビバレッジ・マーケティング社によれば、2016年にボトル入りミネラルウォーターの一人当たり消費量は炭酸飲料を抜き、史上初めてコーラ発祥の地米国でトップが入れ替わった。

出所:https://www.economist.com/business/2017/03/25/companies-are-racing-to-add-value-to-water

2017年はミネラルウォーターの42.1ガロン(160リットル)に対し、炭酸飲料は37.5ガロンと更に水との差を開けた。対前年の数量の伸びは7%、売上では8.8% 増という。一方、炭酸飲料は13年連続の減少だ。これは糖分の多い飲料の健康に及ぼす影響への懸念が、米国の消費者の中でも拡がっていることを示している。

2017年には追い打ちをかけるように、肥満や糖尿病などの生活習慣病に対処するため、米国のいくつかの都市で「ソーダ税」が導入された。AFP通信は今年5月の記事で、2017年にソーダ税を導入(500mlボトルで約27円)したフィラデルフィア市では、砂糖や人工甘味料を含む飲料への課税により、同市での炭酸飲料の売り上げが38%減少したという記事を掲載した。

「ソーダ税」については、効果のある公衆衛生政策だと評価する声がある一方、清涼飲料業界の強力なロビー活動により廃止された都市もある。それでも米国での糖分摂取抑制に向けた大きな流れは変わらない。

前大統領夫人ミシェル・オバマ氏が執念をかけて取り組んだFDAの栄養成分表示の規定が2016年に20年ぶりに改訂され、2018年7月から年間売上1千万ドル以上の食品・飲料メーカーに対して、パッケージへの表示が法制化された。それによれば、1日の砂糖摂取量の上限値を50g以下と規定し、更に内訳に食材が天然に含んでいる糖分に加え、食品加工時に加えられる「添加された糖」の値も表示義務が課せられた。

出所:ALIC(農畜産業振興機構) https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001594.html

今回の改訂では糖類の他にも、ビタミンDはとくに女性や高齢者の骨の健康のため、カリウムは高血圧予防のために、表示義務が追加された。米国では中長期的に砂糖や人工甘味料を使用する炭酸飲料は低落傾向が続きと予測されており、ミネラルウォーターの主役の座は当分揺るぎそうにない。

米国で拡大するミネラルウォーター市場

炭酸飲料は、ピーク時の1990年代前半には米国人一人当たり50ガロン以上消費されていたので、既に23%以上も市場がシュリンクしたことになる。当時はマックに行ってハンバーガーとフレンチフライにコカ・コーラが米国人の昼食メニューの定番であったが、今はこうした風景も大きく変わってしまったのであろう。

画像:米国のボトル入りミネラルウォーター市場シェア推定:ネスレ、コカ・コーラ、ペプシが強く、世界で4強の一角を占める仏ダノンは米国で苦戦している。

ミネラルウォーターのパッケージの主流は?

ミネラルウォーターのパッケージは、ご存知PETボトルが主流だ。炭酸飲料に比べ、薄肉化が徹底され、500mlサイズで比較すれば平均重量9.9g/本に対し、炭酸飲料用のPETボトルの重量は23.9g/本もある。天然資源の消費量削減という意味でもミネラルウォーターに軍配が上がる。ボトルのスリム感もミネラルウォーターの人気を支えているのかもしれない。

ところで、世界的な使い捨てプラスチック・パッケージ削減の嵐を受け、PETボトルはリサイクルをどう進めていくのかという大きな課題を抱えている。コカ・コーラは2030年までに同社が販売する全ての飲料の使用済みパッケージ(PETボトルとアルミ缶)を回収、リサイクルすると宣言した。販売量=回収量にするという前代未聞の挑戦だ。

全世界で販売されている膨大な量のコカ・コーラの飲料容器をどうやって回収していくのであろうか?その答えの一つが、日本コカ・コーラとセブン&アイ・ホールディングンスが発表した、使用済みPETボトル回収の取組みだ。セブン&アイの店舗で回収されたPETボトルを再生業者が回収、再生し、再びセブン&アイのプライベートブランドで販売する。コカ・コーラが世界に宣言した完全循環リサイクルシステムを、日本のリテールと手を携えて挑戦することになる。

出所:日本コカ・コーラ ニュースリリース:https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20190605-15

おわりに

ただ先は気が遠くなるほど長い。世界中に拡散したコカ・コーラの飲料ボトルを、今度はリバース・リサイクルしなければならない。コカ・コーラといえども一社ではとても無理な話で、今回の日本での取り組みのように、リテール、リサイクル業者、業界団体、更には国や自治体、消費者の理解と支援を受けて、世界に広めていかなくてはならない。2030年までにどこまで進むのか、注視していきたい。(森 泰正記)

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